- Vani Devi/Madoka
壁の塗りかえと拡大する意識

ブルガリアでは珍しく、連日湿度の高い日が続き
我が家の寝室の壁紙にカビが発生
早朝3:00、突如インスピレーションを得たパートナーと共に
三日間かけて壁の修繕を行うことになりました
カビに覆われた壁紙の後ろには
祖父母の代に貼られたクラッシックな花柄の壁紙や
思いもしない色の塗料、手作業ゆえのムラのある接着剤が
遺跡のように、発掘されるのを待っていたようで
文字通り、代々この家を自分たちで修繕してきた
ブルガリアの家族の歴史を紐解いていくような作業でした
お金を払って誰かに頼めば、作業は一日で済んだかもしれません
それでも、三日間かけて私が得た「この家の歴史と情報」は
単にリノベーションや、ブルガリアの建築に対する知識だけでなく、
この家に関わった過去の人々との、時空を超えた対話をする
機会を与えてくれました
「あぁ、お祖父ちゃんきっと、日差しとのコントラスト考えて
柔らかい花柄選んだな」
「叔父さんこの辺りの塗装、疲れて投げたな」とか(笑
家にまつわる文脈を理解したことが、
やがて「愛着」とう形で私の中に残ります
それは今後、私たちがどう家をケアするかにも影響することでしょう
これって、お金には代え難いものだと思うのです
「意識を拡大する」って、壮大で小難しい話に聞こえるけど
視覚的には見えない物語に「思いを馳せる、想像する」
っていうことなんじゃないかな
落下する林檎に「重力」という自然の法則を見いだすように
太陽エネルギーの連鎖を理解することによって、
他の動植物に対する慈しみを育むように
あらゆる知識は、すでに目の前に展開しているのだから